ホーム空き家管理ガイド > 空き家のカビ・湿気対策と封水切れの対処法

「久しぶりに実家に入ったら、カビ臭くて驚いた」「押入れの布団がカビだらけになっていた」――閉め切った空き家では、人が住んでいた頃には起きなかった湿気・カビ・悪臭の問題が静かに進行します。

結論から言うと、対策の柱は「通気(換気)」と「通水」の2つです。この記事では、自分でできる換気・通水の手順、悪臭の意外な原因「封水切れ」、換気しに行けない場合の対処法まで解説します。

まず結論:空き家の湿気対策は「通気」と「通水」の2本柱

  1. 通気(換気):閉め切った家は湿気の逃げ場がなく、カビ・建材の傷みが進みます。月1回程度・1時間ほどの換気が目安とされています。
  2. 通水:使わない水回りは、排水トラップの水(封水)が蒸発して下水の臭いと害虫の通り道ができます。訪問のたびに各排水口へ水を流すのが基本です。
  3. ③現地に行けない場合は、換気・通水を巡回や訪問時の作業として業者に頼むことができます。放置期間を作らないことが何より大切です。

なぜ空き家はカビが生えやすい?

人が住んでいる家では、窓の開け閉め・エアコン・人の出入りによって、意識しなくても空気が動いています。空き家ではこれが全て止まるため、次の条件が重なります。

  • 空気が動かない:湿気が室内にとどまり、逃げ場がありません。
  • 湿気の供給は続く:床下や壁からの湿気、雨の湿気は、住んでいなくても入り続けます。
  • 気づく人がいない:カビは初期なら拭き取れますが、発見が遅れるほど広がります。

カビは一般に、気温25℃前後・湿度の高い環境で最も活発に発育するとされています。(出典:文部科学省「カビ対策マニュアル 基礎編」閉め切った空き家の梅雨〜夏は、まさにこの条件がそろう時期です。押入れ・北側の部屋・水回り・畳は特に注意が必要です。

「どのくらいの湿度なら安心か」の目安として参考になるのが、オフィスビルなど一定規模の建築物に適用される建築物環境衛生管理基準です。ここでは室内の相対湿度を40%以上70%以下に保つことが定められています。住宅にそのまま適用される基準ではありませんが、70%を超える状態が続く空間はカビが育ちやすいという判断のものさしになります。閉め切った空き家の梅雨時は、この水準を大きく超えることも珍しくありません。(出典:厚生労働省「建築物環境衛生管理基準について」

空き家の窓を開けて換気するイメージ
※イメージ(対角の窓を開けて換気する様子)

放置するとどうなる?

放置したもの起こりやすいこと
換気をしないカビの発生・拡大、壁紙や建材の傷み、家財(布団・衣類・書類)の劣化
通水をしない封水切れによる下水臭・害虫の侵入経路化
カビを放置する拭き取りで済んだものが、清掃・張り替えなど大掛かりな対応に
雨漏り・結露を放置する木部の腐食・シロアリなど構造に関わる劣化

放置した期間で「必要な作業」が段階的に変わる

カビの厄介なところは、放置した時間の長さがそのまま必要な作業の規模に跳ね返る点です。同じ「カビ」でも、段階が上がるほど自分では手に負えなくなり、専門的な作業や交換が必要になっていきます。

段階状態の目安必要になる対応誰がやるか
初期
(数週間〜)
押入れの隅や窓枠に点々と黒い汚れ。臭いはまだ弱い乾拭き・アルコールでの拭き取り、換気の再開自分でも対応しやすい
中期
(ひと夏〜)
畳・壁紙・布団に広がる。部屋に入るとカビ臭い広範囲の清掃、家財(布団・衣類・紙類)の処分、消臭量が多いと自力では厳しい
後期
(年単位)
壁紙の浮き・剥がれ、畳の変色、押入れの板やベニヤの傷み壁紙の張り替え、畳の表替え・交換、下地の補修専門業者の領域(工事扱い)
雨漏りを伴う場合天井の雨染み、木部の柔らかさ、シロアリの兆候雨漏りの修繕、腐食部の補修など建物本体の工事専門業者の領域(規模が大きい)

費用は建物の状態・面積・地域の施工価格によって大きく変わるため、ここで具体的な金額は挙げません。ただ確実に言えるのは、「拭けば済む段階」と「張り替えが必要な段階」では、かかる時間も費用も桁が変わるということです。換気と通水を続けることの価値は、この段階を上げないところにあります。

ポイントは、カビや湿気の被害は「気づいたときには進んでいる」ことです。実際に、夏の間一度も換気に行けず、秋に訪れると押入れの布団と畳にカビが広がっていて、清掃と処分まで大掛かりな対応になったという例も見られます。以降は月1回の換気・通水を業者に頼むようになり、翌年は同じ被害が出なかった、というケースが典型的です(複数のご相談内容をもとに構成した一例です)。カビ被害の出た家財をまとめて処分する場合は、庭の不用品回収|自治体と業者どっちが得?費用相場・処分方法を解説も参考にしてください。

悪臭の意外な原因「封水切れ」とは?

「カビ臭さ」とは別に、空き家では下水のような臭いが発生することがあります。原因として多いのが「封水切れ」です。

キッチン・洗面所・風呂・洗濯機置き場などの排水口には「排水トラップ」という仕組みがあり、たまった水(封水)がフタの役割をして、下水管の臭いや害虫が室内に上がってくるのを防いでいます。人が住んでいれば水を使うたびに封水は補充されますが、空き家では数週間〜数ヶ月で蒸発してしまい、フタがなくなった排水口から下水の臭いが室内に広がります。夏場は蒸発が早く、ゴキブリなどの害虫の侵入経路にもなり得ます。当社への臭いのご相談でも、原因を確認すると封水切れだった、というケースは珍しくありません。

「空き家がなぜか下水臭い」「換気しても臭いが取れない」という場合、原因はカビではなく封水切れのことがあります。全ての排水口にコップ数杯の水を流すだけで解消することも多いため、換気とセットで覚えておきたいポイントです。
排水口に水を流して封水を補充する通水のイメージ
※イメージ(排水口への通水)

自分でできる換気・通水の手順

  1. 対角線の窓を2ヶ所以上開ける:1ヶ所だけでは空気が動きません。風の入口と出口を作るのが基本です。
  2. 押入れ・クローゼット・室内ドアを全て開ける:湿気がこもりやすい場所ほど、風の通り道に含めます。
  3. 1時間程度そのままにする:短時間の開閉では入れ替わりません。滞在中の作業(掃除・点検)と並行するのが効率的です。
  4. 全ての排水口に水を流す:キッチン・洗面・風呂・トイレ・洗濯機置き場。コップ数杯〜バケツ1杯程度ずつで封水を補充します。
  5. カビ・雨染み・臭いをチェックする:押入れ・北側の部屋・天井の四隅・畳を目視で確認し、初期のカビは乾拭き・アルコール等で早めに対処します。天井の雨染みは雨漏りのサインで、放置すると木部の腐食やシロアリなど構造の劣化につながることがあるため、見つけたら早めに業者へ相談してください。
押入れ・畳のカビを点検するイメージ
※イメージ(押入れ・畳の点検)

頻度は月1回程度が目安とされています(建物の状態・季節により異なります)。毎回長時間である必要はなく、「窓を開けて、水を流して、ひと通り見る」を習慣にすることが大切です。

雨の日の換気は逆効果に思えますが、短時間なら空気を動かすこと自体に意味があるとされます。ただし吹き込みには注意し、無理のない範囲で行ってください。

季節ごとの注意点

春(3〜5月)
→ 冬の間の結露・カビ被害を点検し、梅雨前に風を通しておく準備の季節です。
梅雨〜夏(6〜9月)
→ カビのピーク。封水の蒸発も早い時期です。可能なら訪問・依頼の頻度を上げたい季節です。
秋(10〜11月)
→ 夏の間のカビの点検と、冬支度の準備。全体の確認は空き家の冬支度チェックリスト|遠方でも今すぐできる凍結・防犯・火災対策へ。
冬(12〜2月)
→ 結露によるカビに注意。なお、凍結対策で水抜きをしている家では通水ができないため、封水の扱いも含めて対応が変わります。詳しくは空き家の水道管、凍結で破裂する前に|水抜きのやり方・放置リスク・費用を解説をご覧ください。

※時期は一般的な目安であり、地域や建物の状況によって前後します。

自分で管理する?業者に頼む?判断の分かれ目

ここまでの手順は、月1回、家に行ける人であれば自分で十分に対応できる内容です。業者に頼むかどうかの分かれ目は、作業の難しさではなく「その頻度で通い続けられるか」にあります。

判断の観点自分で管理するのが向く業者に頼むのが向く
家までの距離車で1時間以内など、思い立ったときに行ける県外・遠方で、行くだけで1日仕事になる
時間の余裕月1回の休日を確保できる仕事や介護で、まとまった時間を取りにくい
体力・年齢窓の開閉・押入れの確認を無理なく行える高齢で長距離の移動や作業が負担になる
相続直後かどうか家の状態を把握できている相続したばかりで、どこに何があるかも分からない
今の被害の程度まだカビも臭いも出ていないすでにカビ臭・下水臭がある/畳や押入れにカビを見つけた
ほかの作業の有無換気と通水だけで足りる草刈り・片付け・点検も同時に必要

特に注意したいのが、「行けるつもりでいたが、結局ひと夏行けなかった」というパターンです。前の章で見たとおり、放置の段階が一つ上がると必要な作業は清掃から交換へと変わります。行ける自信がない期間だけ頼むという使い方もできるため、「毎月契約するかどうか」で悩む必要はありません。

換気しに行けない場合はどうする?

✅ 次のうち、当てはまる項目はありますか

  • 遠方に住んでいて、月1回の訪問は現実的でない
  • すでにカビ臭・下水臭が気になっている
  • 押入れ・畳・布団にカビを見つけた
  • 換気だけでなく、庭や建物全体の状態も見てほしい

▶ 1つでも当てはまる → 換気・通水を含む見回りを業者に頼む段階です。訪問時に写真で報告を受ければ、遠方でも家の状態を把握しやすくなります。

▶ 当てはまらない → 月1回程度の訪問で、換気・通水・目視チェックを続ければ十分です。

当社への空き家管理のご相談でも、「臭いが気になって初めて封水切れを知った」というお話は少なくありません。換気・通水は1回あたりの作業としては小さいため、草刈りや点検など他の作業とあわせて頼むと効率的です。頼み方の選択肢は空き家管理代行は月額契約とスポットどっちが得?料金・違い・選び方を徹底比較で比較しています。

📷 換気・通水を含む見回りのご相談も承っています

カビや臭いが気になる場合も、状況をお伺いしながらご案内します。ご相談・お見積りに費用はかかりません。

LINEで相談する電話で相談 080-5446-4889

よくある質問(FAQ)

換気はどのくらいの頻度でやればいいですか?
月1回程度・1時間ほどが一般的な目安とされています。建物の状態や季節によって適切な頻度は変わるため、梅雨〜夏は可能なら頻度を上げると安心です。
換気しないと、どのくらいでカビが生えますか?
建物の立地・構造・季節によって大きく異なるため一概には言えませんが、梅雨〜夏の閉め切った家では、ひと夏でカビが広がっていたというケースも見られます。「どのくらいなら大丈夫」と考えるより、放置期間を作らないことが確実です。
空き家が下水臭いのはなぜですか?
排水トラップの水(封水)が蒸発し、下水管の臭いが室内に上がってきている「封水切れ」の可能性があります。全ての排水口に水を流して封水を補充すると解消することが多いです。
換気のために窓を開けっぱなしにして帰ってもいいですか?
おすすめできません。防犯上のリスクが大きいうえ、雨の吹き込み・鳥や虫の侵入・強風での破損といった別の問題が起きます。空き家は「留守」が外から分かりやすいため、開口部を開けたまま離れるのは避けてください。滞在中にしっかり換気し、帰るときは必ず施錠する形が基本です。
換気扇はつけっぱなしにしておいたほうがいいですか?
電気を通している家であれば、24時間換気システムや浴室の換気扇を常時運転にしておくのは有効な考え方です。ただし長期間の連続運転は電気代と機器の劣化につながるため、事前に機器の仕様を確認してください。また、換気扇だけでは家全体の空気は動きにくいので、定期的に窓を開ける換気と併用するのが確実です。電気を止めている家では使えないため、訪問時の換気でカバーすることになります。
除湿機を置いておくのは有効ですか?
電気が使える家で、かつ排水の処理ができる機種(連続排水ができるタイプ)であれば有効な補助になります。ただしタンク式は満水で自動停止するため、無人の空き家では数日で止まってしまいます。また不在中の家電の長時間運転は火災リスクの観点からも慎重に判断してください。基本は換気で空気を動かすこと、除湿機はあくまで補助と考えるのが安全です。
除湿剤や換気口だけで換気の代わりになりますか?
置き型の除湿剤や換気口は補助にはなりますが、家全体の空気の入れ替えの代わりにはなりにくいとされています。定期的に窓を開けて空気を動かすことが基本です。
電気を止めている家でもカビ対策はできますか?
はい。換気・通水・目視チェックは電気がなくても行えます。ただし除湿機やエアコンを使った対策はできないため、訪問頻度でカバーする形になります。
布団や衣類は置いたままで大丈夫ですか?
湿気を吸いやすい布団・衣類・紙類は、カビ被害が最初に出やすい家財です。使う予定がないものは早めに整理・処分を検討すると、被害と片付けの手間を減らせます。
畳のカビは自分で取れますか?
表面の軽いカビは、乾拭きやアルコールでの拭き取りで対応できる場合があります。広範囲に及んでいる場合や、拭いても繰り返す場合は、張り替えや専門的な清掃が必要になることがあります。
冬に水抜きをしたら、通水はどうすればいいですか?
水抜き中は水道が使えないため、通常の通水はできません。凍結対策と臭い対策の優先順位や代替手段は建物の状況によって変わるため、水抜きの依頼時にあわせてご相談ください。
ペットや子どもを連れて行っても大丈夫ですか?
カビが広がっている空き家では、ほこりやカビを吸い込みやすい環境になっていることがあります。状態が分からない段階では長時間の滞在を避け、気になる場合は換気・清掃を済ませてからにすると安心です。

まとめ:「窓を開けて、水を流す」だけで空き家は大きく守れる

  • 空き家の湿気対策は通気(換気)と通水の2本柱。月1回程度・1時間ほどが目安です。
  • 下水のような臭いの原因は封水切れのことが多く、全排水口への通水で解消できる場合があります。
  • カビ・湿気の被害は静かに進みます。放置期間を作らないことが、清掃・張り替えなど大掛かりな出費を防ぐ一番の近道です。
  • 通えない場合は、換気・通水を含む見回りを業者に頼む形で「放置しない体制」を作れます。

運営:生活サポート24(空き家の換気・通水・見回り・草刈り・片付けなど、季節の管理作業にスポット単位で対応)

カビと湿気の被害は、気づいたときには家財や建材まで進んでいることがあります。行けていないことが気になっている、というご相談も珍しくありません。こんな方にご相談いただいています。
  • ✓ 何ヶ月も換気に行けていない
  • ✓ カビ臭・下水臭が気になっている
  • ✓ 押入れや畳のカビを見つけてしまった
  • ✓ 換気のためだけに遠方から通うのは難しい

📷 空き家の換気・カビの心配、まずはご相談ください

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