「雪が降ったら、とりあえず総務担当や若手社員に敷地の雪かきをさせている」——多くの工場・倉庫でごく当たり前に行われているこの対応、実は労災リスクと会社の法的責任という2つの問題を抱えています。

もし除雪を任せていた社員が敷地内で転倒して骨折し、労災と安全配慮義務違反を同時に問われたら——その対応窓口になるのは、総務担当であるあなた自身です。結論から言うと、除雪中の転倒・労災は決して珍しい事故ではなく、会社には従業員の安全を守る「安全配慮義務」が法律で課されています。この記事では、従業員に除雪をさせた場合に起こりうるリスクを公的データで確認し、自社対応に隠れているコストと、外注という選択肢を整理します。

まずはこの流れで確認できます
自社の除雪体制を30秒セルフチェック → リスクが積み上がっていれば外注も選択肢 → 費用の可視化・安全配慮義務への対応を比較して判断

まず結論:除雪中の転倒・労災リスクは軽視できない

  • 労働災害(休業4日以上)の事故の型別で最も件数が多いのは「転倒」です。凍結・積雪した敷地はその発生条件をさらに悪化させます。
  • 会社には労働契約法第5条の安全配慮義務に加え、労働安全衛生法でも事業者に危険防止措置が義務付けられています(※本記事は一般的な考え方の解説であり、個別の法的判断は弁護士・労働基準監督署等にご確認ください)。
  • 始業前・敷地内の除雪作業中のケガも労災の対象になり得ます
  • 従業員に除雪をさせ続けることは、労災リスク・営業機会の損失・安全配慮義務違反のリスクを自社に抱え込むことでもあります。「これまで事故がなかったから今後も大丈夫」とは言い切れません。

外注を検討すべきタイミングの目安

すべての工場・倉庫にすぐ外注が必要というわけではありません。次のような状況が当てはまるほど、外注を検討する優先度が上がります。

状況外注検討の優先度
フォークリフト・台車を扱う通路や荷捌き場がある◎(重篤なケガにつながりやすい)
除雪担当が特定の1〜2名に固定されている
過去にヒヤリハット(転倒しかけた・滑った等)があった
大雪の日、除雪のために本業が止まってしまう
現状、除雪の遅れによる支障は特に出ていない△(体制が崩れたときの備えは検討を)

※あくまで目安です。実際の判断は敷地の広さ・従業員数・積雪量など個別の状況によって異なります。

従業員に除雪をさせた場合に起こりうるリスク

工場・倉庫の敷地除雪を従業員に任せる運用は、コストをかけずに済む一方で、いくつかのリスクを会社側に集中させています。

① 転倒・骨折などの労災リスク

凍結した路面・除雪しきれていない敷地は、平常時よりも転倒リスクが大きく上がります。特に、フォークリフトや台車を扱う敷地内、荷捌き場、駐車場から建屋までの通路は、荷物を持ちながら歩く社員が多く、転倒すると骨折や打撲など重篤なケガにつながりやすい場所です。

② 除雪担当者自身の作業中の事故

除雪を「本業のついで」に任された社員は、除雪の経験や装備が十分でないまま作業することが少なくありません。除雪機を使う場合は詰まった雪を取り除こうとして手を入れ巻き込まれる事故、屋根に上がっての作業では転落事故のリスクもあります。除雪専任でない社員に片手間で任せることは、慣れない作業でのケガのリスクを高めます。

③ 営業機会の損失

本来の業務がある社員を除雪に割り当てることは、その時間だけ生産性・営業活動が止まることを意味します。大雪の日ほど「今すぐ敷地を通行できる状態にしたい」というニーズが強くなりますが、そのタイミングで社員の手を止めて除雪に回すこと自体が、機会損失そのものです。

工場の荷捌き場でフォークリフトの近くで雪かきをする社員
※イメージ:本来の業務がある社員が除雪に割り当てられると、その時間だけ生産性が落ちる
これらのリスクに共通するのは、「誰かがやらなければならない作業」を、専門知識のない社員に、本来の業務時間を割いてやらせているという構造です。次の章で、実際にどれくらいの労災・事故が起きているのかを公的データで確認します。

除雪作業中の死亡・労災に関する公的データ

「敷地の除雪くらいで大げさな」と感じるかもしれません。しかし、公的機関が公表しているデータを見ると、除雪・転倒に関する労災は決して小さな問題ではないことがわかります。

項目データ
労働災害(休業4日以上)の事故の型別トップ転倒災害(令和6年:36,378人)で、休業4日以上の死傷者数全体(135,718人)の約27%を占める
転倒災害の推移令和5年:36,058人 → 令和6年:36,378人(前年比320人・0.9%増)と増加傾向
雪害による死者に占める除雪作業中の割合(令和2年11月からの大雪)雪害による死者110人のうち95人(約9割)が屋根の雪下ろし等の除雪作業中の事故によるもの

※出典:厚生労働省「労働災害発生状況」(令和5年・令和6年、令和6年は速報値ベース)。転倒災害は労働災害の事故の型別で継続して最多。総務省消防庁「令和3年版消防白書」(令和2年11月からの大雪における雪害死者数・除雪作業中の割合。年によって死者数・割合は変動する)。

工場敷地内の凍結した通路を慎重に歩く作業員
※イメージ:凍結・積雪した敷地は転倒リスクが平常時より大きく上がる

凍結・積雪は転倒リスクをさらに押し上げる要因であり、「敷地の除雪」は単なる環境整備ではなく労働災害・雪害の主要な原因の1つに直結する作業だと捉える必要があります。

⚠ 敷地の除雪状況は、安全配慮義務を果たしていたかどうかの判断材料の1つになり得ます。通路の凍結・積雪を放置していたかどうかは、労働紛争の実務でも会社側の対応の適切さを判断する要素として扱われることがあると指摘されています(個別事案の法的判断は専門家にご確認ください)。

✅ 30秒セルフチェック:自社の除雪対応、このままで大丈夫か

当てはまる項目があるか確認してください。

  • 除雪の担当が「特定の社員(総務・若手・当番制など)」に固定されている
  • 除雪担当者に、除雪の研修や安全教育を行ったことがない
  • 大雪の日でも、通常業務をこなしながら除雪を行っている
  • 敷地内の除雪が「どこまでやれば十分か」の基準が社内にない
  • 過去に敷地内でヒヤリハット(転倒しかけた・滑った等)があったが、対応を変えていない
  • フォークリフトの通路・荷捌き場など、荷物を持って歩く場所の除雪が後回しになりがち

▶ 1つでも当てはまる → 自社対応にリスクが積み上がっている状態です。労災の発生確率だけでなく、発生した場合の安全配慮義務違反の指摘リスクも高まります。外注への切り替えを検討する材料にしてください。

▶ 1つも当てはまらない → 現状は比較的リスクが管理できている状態です。ただし、除雪担当者の異動・退職などで体制が崩れやすい点には注意してください。

「どこまで自社でやり、どこから外注すべきか判断がつかない」というご相談も珍しくありません。

自社の除雪体制、一度整理しませんか

敷地の広さ・積雪の状況をお伝えいただければ、一緒に整理します。ご相談・お見積りは無料です。

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安全配慮義務の観点から見た自社対応の隠れコスト

「除雪を社員にやらせれば外注費がかからない」という判断は、目に見えるコストだけを見た比較になりがちです。実際には、自社対応には見えにくいコストが積み上がっています。

コストの種類内容
労災発生時の直接コスト治療費・休業補償・場合によっては損害賠償請求への対応
安全配慮義務違反のリスク除雪が不十分な状態を放置していたと判断されれば、会社の責任を問われる可能性
本業の機会損失除雪に割いた時間だけ、本来の業務・生産性が落ちる
担当者の負担・不満「なぜ自分だけ除雪をやらされるのか」という不公平感が離職要因になることもある
対応品質のばらつき担当者の経験・体調によって除雪の仕上がりが変わり、リスク管理が属人化する

これらのコストは、労災が実際に発生するまで見えにくいという特徴があります。しかし、転倒災害が労働災害全体で最も多い類型であり、かつ増加傾向にあることを踏まえると、「今まで事故がなかったから今後も大丈夫」という前提には根拠がありません。安全配慮義務は「事故が起きてから対応する」ものではなく、事前に危険を発見し防止する義務として法律に定められています。

法人・工場・倉庫の除雪相談で多いのが「どこまで自社でやり、どこから業者に任せるべきか分からない」というものです。まずは敷地図や現状の写真を送っていただければ、対応範囲の切り分けから一緒に整理できます。

外注(作業時間分の明朗会計)に切り替えるという選択肢

従業員に任せる以外の選択肢として、除雪作業そのものを外注するという方法があります。工場・倉庫の敷地除雪を外注する場合、判断材料になるのは「費用が明確か」「必要な範囲を柔軟に対応してもらえるか」の2点です。食品工場・倉庫・物流拠点・製造業など、業種を問わず工場・倉庫の敷地除雪にご対応しています。

当社(生活サポート24)では、作業時間分の明朗会計で対応しています。目安として雪かき・雪下ろし代行は1時間4,000円〜が中心です(人数・作業内容・積雪量によって変動します)。敷地の排雪作業は見積り対応、屋根の雪下ろしにも対応可能です。車がスタックした際のご相談も承っていますが、大雪の時期は他の対応が重なり、状況によってすぐに伺えないこともあります。除雪の費用相場をシーズン単位で把握しておきたい場合は、都度依頼するスポット契約のほか、降雪期間中まとめて依頼するシーズン契約という選択肢もあります。ただし大雪が続く時期は依頼が集中しやすく、スポット契約では希望日時にご対応できない場合がある点は踏まえておいてください。

高視認性ワークウェアの専門業者が除雪機で敷地の通路を除雪する様子
※イメージ:専門業者に任せれば、社員は本来の業務に集中できる
比較項目従業員に任せる外注する
労災リスク自社の従業員が負う作業側の責任範囲で実施
本業への影響その時間、本業が止まる本業を止めずに敷地を確保できる
費用の見え方一見無料に見えるが人件費・機会損失は発生している作業時間分の明朗会計で可視化される一方、費用は発生する
安全配慮義務への対応体制構築・教育が必要専門的な除雪体制に任せられる
依頼のタイミング社員がいれば即対応できる大雪の繁忙期は予約が集中し希望日時に沿えない場合がある
立会いは不要です。作業前後の状況は写真でご報告します。ただし、最終的な金額や作業可否は現地・当日の状況によって変わることがあるため、写真だけで正式な金額をその場で確定させることは基本的にできません。まずは敷地の状況をお送りいただき、概算の目安をお伝えする流れになります。出張・お見積りは無料、キャンセルも無料で、365日対応しています。
敷地の除雪費用の考え方をもっと詳しく知りたい方は雪かき・雪下ろし代行の費用相場、信頼できる業者の見分け方は雪下ろし・雪かき業者の選び方をご覧ください。駐車場・店舗などシーズン契約とスポット契約の選び方に迷う場合は駐車場・店舗の除雪契約の選び方もあわせてご確認ください。

よくある質問(FAQ)

従業員に除雪をさせるのは違法ですか?
除雪作業自体を従業員にさせることが直ちに違法になるわけではありません。ただし、会社には労働契約法第5条に基づく安全配慮義務や労働安全衛生法上の危険防止措置の義務があり、危険な状態を放置したまま作業させ、その結果ケガが発生した場合は義務違反を問われる可能性があります。
敷地内の除雪作業中にケガをしたら労災になりますか?
業務に関連する除雪作業中のケガは、労災の対象になり得ます。始業前や休憩中であっても、会社の指示や慣行として行われている作業であれば業務災害として扱われるケースがあります。個別の状況によって判断が変わるため、詳細は労働基準監督署等にご確認ください。
安全配慮義務とは具体的に何をすればよいのですか?
労働契約法第5条は「使用者は労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定めています。あわせて労働安全衛生法でも事業者が講ずべき危険防止措置が定められており、除雪については、敷地内の危険箇所を把握し、放置せず対応する体制を整えることが該当します。
転倒災害はどれくらい多いのですか?
厚生労働省の集計では、労働災害(休業4日以上)の事故の型別で転倒災害が継続して最多となっており、令和6年は36,378人で休業4日以上の死傷者数全体の約27%を占めています。件数は増加傾向にあります。
除雪を外注すると従業員にやらせるよりコストが高くなりませんか?
直接の支払額だけを見ると外注費が発生しますが、従業員に任せる場合も人件費・本業の機会損失・労災リスクという見えにくいコストが発生しています。作業時間分の明朗会計であれば、費用を可視化した上で比較検討できます。
工場・倉庫の敷地全体の除雪も依頼できますか?
対応可能です。敷地の広さや駐車場・通路・荷捌き場など優先して除雪したい範囲を教えていただき、まずはご相談ください。対応できる内容は状況をうかがいながらお伝えします。
急な大雪でも当日対応してもらえますか?
365日対応していますが、大雪の時期は他の対応が重なり、状況によってはすぐに伺えないこともあります。まずは敷地の状況をLINEまたは電話でご相談ください。
シーズン契約とスポット契約、どちらが法人には向いていますか?
降雪頻度や敷地の重要度によって異なります。判断の目安は駐車場・店舗の除雪契約の選び方の記事で診断チャートとして整理していますので、あわせてご確認ください。
立会いなしで敷地の除雪を依頼できますか?
立会いは不要です。作業前後の状況は写真でご報告します。詳細は本文の「外注に切り替えるという選択肢」をご確認ください。
排雪や車のスタック対応も依頼できますか?
排雪作業は見積り対応で承っています。車のスタック対応もご相談いただけますが、大雪の時期は他の対応が重なり、状況によってすぐに伺えないこともあります。まずは敷地除雪とあわせてご相談ください。
参考資料一覧

まとめ:従業員の安全と自社の責任を守るために

  • 転倒災害は労働災害の中で最も件数の多い事故類型であり、増加傾向にあります。凍結・積雪した敷地はそのリスクをさらに高めます。
  • 会社には労働契約法第5条に基づく安全配慮義務や労働安全衛生法上の危険防止措置の義務があり、敷地の除雪を放置した結果ケガが発生した場合、義務違反を問われる可能性があります。
  • 従業員に除雪を任せる運用は「無料」に見えて、労災リスク・機会損失・属人化といった見えにくいコストを抱え込んでいます。
  • 外注は、作業時間分の明朗会計で費用を可視化しながら、従業員を本来の業務に集中させる選択肢になります。

✅ 結局どちらが自社に合う?

  • 除雪担当が特定の社員に固定されている → 外注への切り替えを検討する材料に
  • 過去にヒヤリハットがあったが対応を変えていない → 安全配慮義務の観点からも要注意
  • 現状は比較的リスクが管理できている → 体制が崩れやすい点には引き続き注意を
  • 判断がつかない → 敷地図や現状の写真を送っていただければ整理します

「判断がつかないまま今シーズンも先延ばしにしている」というご相談も珍しくありません。

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